ピラミッドの建造
旧来、ピラミッドの建設は多数の奴隷による強制労働が用いられたという説が主流であったが、当時の技術力・国力からして奴隷労働なしでも20年程度で実現可能と考えられる点、奴隷を徴用した証拠がないという点から一部の研究者には疑問を抱かれていた。近年のピラミッド労働者の村の発掘で、地方からやって来た労働者が地元の女性と結婚していた証拠や、酒が振舞われた記録、怪我に対して外科治療を行われていた痕跡が墓地の死体から見つかり、更には欠勤の文言の見られる当時の出勤簿の発掘等から、労働者は自由意思で働いていた事が導き出され、現在では奴隷労働説は否定されたと言って良い。そもそも古代エジプト社会は古代ローマや古代アテナイの社会と異なり、農業や手工業といった通常の生産労働も奴隷労働に依存せず自由身分の農民によって成されており、人口の少数しか占めない奴隷は家内奴隷が主体であった事が判明している。
ピラミッド建設に必要な石材は建造地の近傍では産出しない為、石切場で切り出された後、粗加工した状態で搬送されたと考えられる。それらの石は一定の規格寸法があった訳ではなく、現場で必要な寸法に合わせて専門の職人によってノミを用いて整形されていた。石材を積み上げるに当たっては、日乾し煉瓦と土等で作業用の傾斜路が作られ、その斜面を運び上げられた。この傾斜路は、ピラミッドを取り巻くように築かれ、四辺で90度ターンしながら石を運び上げていったものと考えられていた。この方法だと施工面積を最小限に抑えられるからである。しかし最近は、ターンしなくても良い、長大な一本道が使われていたという説が多くを占めるようになってきた。この方法だと、各ピラミッドの傾斜路がナイル川から石材を降ろして運び上げるのに丁度良い位置に来るという研究もある。
クフ王の大ピラミッドについて、1978年に大林組が、「現代の技術を用いるなら、どのように建設するか」を研究する企画を実行した。それによれば総工費1,250億円、工期5年、最盛期の従業者人数3,500人という数字が弾き出された。1立方m当たりの価格は、コンクリートダムが24,000円前後に対してピラミッドは48,000円になるという。(金額は当時のもの)

wikipediaより


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ピラミッドの風景写真